2017年05月

キング第3クワッド

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〈基本情報〉
・線路水平長   1312.25m
・線路傾斜長   1356.58m
・高低差     307.60m
・線路両線間隔  5.2m
・支柱数     15本
・輸送能力    2400p/h
・速度      5m/s
・搬器台数    96台
・搬器モデル   4E98/B
・グリップモデル(握索機) DT(トーションバー式)
・山麓      原動, UNI-G(新型機械カバー), 車庫線
・山頂      緊張, 建屋
・索道メーカー  日本ケーブル
・回転方向    反時計
・定員      4名
・方式      単線自動循環式(4-CLD/B)
・事業者     (株)東急リゾートサービス


許可年月日...2016年(H28年)4月20日
運輸開始年月日...2016年(H28年)12月?日

ニセコ全体のレ(リ)ポートはまだだが、先に2017シーズン新規索道であるキング第3クワッドのレポートを紹介する。

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1985-2016まで、今のキング第3クワッドとほぼ同位置に東京索道のデタッチャブル(単線自動循環式特殊索道)の1号機である、キング第3トリプル(旧称:高原第6高速トリプル)が架けられていた。
キング第3トリプル時代、ヒラフゴンドラ山頂駅からのアクセスは平坦な斜面があり、歩きを必要としていたが、今回新設されたキング第3クワッドは山麓駅を約170m下部に変更し、ヒラフゴンドラからスムーズに滑り込めるようになった。
上の画像は元キング第3トリプルの山麓停留所付近。

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上の4枚の比較画像を見ても下部に170m延伸されていることがわかる。

今回一番注目したいのは新型のフード付き搬器である
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2017年登場のフード付き搬器はDoppelmayr社の現行モデルであり、以前のモデルと比べると乗り心地、振動と格段に良くなっている。
日本ケーブルの技術提携先であるDoppelmayr社のフード付きクワッドの現行モデルは、90年代からあるモデルであり、登場当初は高級モデルとしての登場であったが、後に標準モデルとなった。日本では15年近くたってからの登場であるので、旧モデルの在庫処分等に充てられていたと考えられる。また今年建設のサホロエクスプレスは旧モデルの採用であるので、旧モデルと新モデル2種類選べるのかもしれない。もちろん旧モデルの方が安価と思われる。

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キング第3クワッドのセフティーバーを見るとドイツ語(上)と英語(下)で終点でセフティーバーを上げてくださいというお決まりの言葉が表記されている。
ドイツ語がつかわれている理由としてDoppelmayr本社の所在地のオーストリアの公用語であるからで、新モデルは一部部品を輸入し組み立て等を日ケ工場で行われている可能性が高い。

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フード付きリフトの特徴であるこもり音が、以前のモデルよりも大分改善されており、索輪通過時の振動も少ない。
これは原動機自体の改良や、搬器持ち手部分に防振ゴムを介在し2点で支えることによって実現したものと思われる(上画像)

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オプションで座席のカラーを選択できるようで、キング第3クワッドはオレンジ・ネイビー、イエロー・ブラックの搬器が交互に懸垂されている。
同じように2017年新規索道である札幌国際のエコークワッドはイエロー・ネイビーである。

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握索機は1995年登場のDT型で、トーションバーを4つ用い捩り弾性復元力で握索する。
トーションバーとは棒状のものを捻った際に起こる復元力をもとにしたバネである。
一般的に荷重の変動や揺れなどに強い握索方法は、バネを用いた方法であるが、バネの中でもコイルバネを用いると荷重が大きい場合でもしっかりと握索できる。しかし握索機自体が大型しメンテナンスが大変になるという欠点が生じる。日本ケーブル(Doppelmayr)は軽量で空間を占有しない皿バネ(皿バネ握索機:DS型)を用いていたが、それよりも軽量でシンプルなトーションバーを用いることによって、見た目も洗練されたデザインで小型化・軽量化を実現した。
しかし搬器が10人乗りフード付きリフトや10人乗りゴンドラの場合は、いくらトーションバーの蓄積エネルギーが大きいといえども、コイルバネを用いた握索機(AGA型)がつかわれている。
AGA握索機の名称の由来並びに開発元は、イタリアのagamatic社であるが、現在agamatic社はDoppelmayr社に買収されており存在しない。

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搬器は一人一人区分けされており、以前の搬器のように適当な位置に座ることができない。また足掛けもT状のものではなくなり以前よりかけにくくなった。

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山麓停留所は、2000年登場(日本では2002年)の新型機械カバー式(UNI-G)と車庫線が建屋になっているタイプ
山麓停留所の色合いは先代のキング第3トリプルと同様である。
UNI-Gタイプの停留所は現在日本に多く見られ、側面にアクリル板(エコークワッド)があるタイプとキング第3クワッドのようにないタイプが存在する。また2008年建設のサッポロテイネのサミットエクスプレスより若干マイナーチェンジをしている。

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終点近くの支柱は以前よりも高くなっている。
山頂はUNI-Gではなく以前と変わらず建屋方式であり、ニセコの山頂の風の強さがうかがえる。
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キング第3クワッドの位置するのは、1000m付近のニセコでも雪質が良い地点で、滑りやすい林間コースを楽しめるので大変人気のリフトである。
以前からゴンドラから滑り込めないことには悪評で、キング第3トリプルも耐用年が近いこともあり架け替えが望まれていたが、ここにきてやっと架け替えが行われた。
1800p/hから2400p/hに増強された効果は大きく、以前よりも混雑はなくなったように感じられる。

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最後におまけ画像
運行終了後に車庫に搬器を収納する際の画像
なぜか停留所について一度開いたフードをまた閉じて車庫に搬入していた。停留所内でもフードが閉じたまま押送することが可能であるのに、なぜかその機能は使われていなかった。



黒姫第1クワトロ

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基本情報
キロ程    1,672m
高低差    413m
支柱数    25
輸送能力   2400p/h
速度     5m/s
搬器台数   119台
山麓     原動.緊張.建屋.車庫線
山頂     建屋
索道メーカー 日本ケーブル
回転方向   時計
定員     4名
方式     単線自動循環式
事業者    蔵王ロープウェイ(株) 旧:蔵王リゾート(株)
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許可年月日...1989年(H1年)2月23日
運輸開始年月日...1989年(H1年)12月10日

黒姫ゲレンデのメインリフトで黒姫ゲレンデベースから蔵王ロープウェイ山頂線山麓駅のあるユートピアゲレンデを結ぶリフト。

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黒姫第1クワトロは蔵王スキー場内の特殊索道で最も距離が長く標高差もある。そのこともあり速度は5m/sと特殊索道では最速の速さである。
許可年月日、運行開始年月日は大森クワトロと全く同じでリフト仕様もほぼ同じである。
この記事のトップ画像は黒姫第1クワトロの山麓駅であるが、大森クワトロと同様に折り返し滑車が場内押送内ではなく、離れた位置にあるために建屋右部分が突き出た構造になっている。

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現在の黒姫第1クワトロは足掛けがないが、完成当時の画像をみると足掛けがついている。
1,600mとなると比較的長い特殊索道なので足掛けがあるのは当然なことであるが、わざと切断したのには何らかの原因があると考えられる。
一つの原因としてフード開閉時に足掛けがあることによってスキーなどが引っ掛かりリフトが停止してしまうということだ。
フード付きリフトに慣れてないスキーヤーにとってフード開閉と同時にいきなり足掛けが降りてくると慌ててしまいリフトの停止を招く。
混雑時にそのようなことが頻発し、しょっちゅうリフトが停止してしまうと、せっかくの輸送能力が落ちてしまい更なる混雑の原因となる。
スキーブーム時の黒姫第1クワトロは第2クワトロを建設するくらいの混雑ぶりであったことから、この理由が一番適切と考える。

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山頂駅周辺は樹氷もちらほら見え始め風景画が変わる。
建屋は大森クワトロ同様の造りだが、下り線入り口はない。

滑走可能コース

黒姫ゲレンデは中斜面が続くロングコース。
ゲレンデ上部は風により雪が飛ばされていることが多く草などが出ている場合が多いので注意。
個人的な感想だが、大森ゲレンデよりも斜面変化が乏しいので若干飽きやすい。

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